One Day – David Nicholls

EmmaとDexter、二人の20年のストーリー。
人生にはたくさんの記念日がある。
だけど、唯一知ることのできない、でも絶対に存在する記念日は、その人が死ぬ日。
これがこの小説のテーマ。
であると僕は理解しました。
7月15日。
この日はEmmaが死ぬ日。
大学卒業から、社会に出て、成功して、挫折して、または、挫折して、成功して、
そして結婚して、子供ができて、離婚して、ふたりが結ばれて、年をとって、死んでしまうまで。
二人がときに一緒になり、時に離れ、すごしていく20年間の人生が、
毎年訪れる7月15日を中心に語られていきます。
その年代、年代の男女の心情が皮肉に、鋭く、だけど、ユーモアいっぱいの暖かい筆致で描かれています。
何より、年をとるってこういう感じなんだな、ということを、リアルに思い知らせてくれる本でした。
残酷だけど、人は年をとって、老いて、そして死んでしまう。
でも、その死を目の当たりにすると、今まで歩んできた人生、
その一瞬一瞬がまぶしいほど輝いて、眼を向けることさえできないほど愛おしい。
老いた自分がそこにいて、そして愛していたものを失ってしまう、
それでもどうしたって人生を前に進めなければならないとき、人は強く生きていけるのだろうか。
いつか老いることがわかっていて、そのとき、後悔しないような生き方を、自分はできているだろうか。
人気女優、アン・ハサウェイ主演で映画化もされている本作。
だけど、映画では、アン・ハサウェイ演じるEmmaがインテリの理想家なところとか、
Dexterがイケメンの遊び人だけど、心が弱くて、優しい憎めないやつであるところとか、
何より本全体のユーモアな雰囲気が全然表現されていなくて、
ただ、ストーリーを追うだけに終始してしまっている。
きっと、映画だけでワン・デイを知った人の評価は、アン・ハサウェイが好きならともかく、
とても低いと思う。
この映画は、ワン・デイを小説で読んだ人が、その現実の風景が映像化されたものを見て、楽しむためのものだと思う。
だから、僕は映画を観るのでなく、小説を読むことをお勧めします。

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