リクルート式「楽しい事業」のつくり方 Hot Pepperミラクル・ストーリー 平尾勇司

リクルートホールディングスは2014年10月16日、東証1部に上場した。
上場時時価総額は1兆8千億円と巨額。
1998年NTTドコモ以来の大型上場らしい。
本書はリクルートの中でも主力事業の一つ。ホットペッパーにまつわる事業のお話を纏めた本。
著者の平尾勇司氏は1980年香川大学経済学部卒業。リクルート入社。
営業所の所長や営業部部長、支社長を歴任。
2001年4月にホットペッパー事業部長に就任。
2003年4月狭域ビジネスディビジョンカンパニー執行役員に就任。
タウンワーク、タウンズ、じゃらん等の地域展開と事業化を推進。
2006年3月に退任し、経営コンサルタントになった。
専門分野は新規事業開発、事業成功モデルの開発と運用、事業・組織マネジメント等らしい。
ホットペッパーは誰でも知っているだろう。
だけど、もう都会では見かけなくなった。
時代も変わって今や、飲食情報などを得るのはネットが主流。
ホットペッパーも時代の流れに沿って、雑誌からは撤退し、ネット主流でやっており、
紙面がでるのは忘年会シーズンなどの特別な時だけだ。
ただ、地方では紙面の配布を今も続けているらしい。
時代は変わって、ビジネス形態は変われど、
この本には事業を推進していく上で役に立つアイデアがいくつもある。
ここに纏めておきたい。
【目標と目的】
ヤクルトを毎日届ける仕事をしている方々はヤクルトを届けているのではない。「健康」を届けている。
ソニーのウォークマン開発者は携帯音楽プレーヤーを開発したのではない。「音楽と生活する世界」を開発してブームを創った。
世の中を変える、街を動かす。人を幸せにする。
壮大な目的であればあるほど、数字である目標は価値を持つようになる。
目的が事業のエネルギーになるのだ。
【実行しないことこそ、事業が成功しない最大の原因である】
「戦略は正しいがどうしても結果が出ない。そして、戦略を練り直す」。
そんなことを繰り返している事業は多い。けれどじつは、決めたことが実行されないから結果が出ないことに気づかない。
【仕組化】
仕組化というとマニュアルのように人を使うみたいだけど、そうではないと著者は言っている。
人を大切にして、人に依存するために仕組化するのだと。
人のクリエイティブをさらに上位概念に引き上げるために仕組化があるのだと。
【剣道には小手・面・胴しかない】
仕事も同じ。基本を徹底的に身につけたからこそ、応用ができる、創造性のある仕事ができるようになる。
【営業を科学する】
ホットペッパービジネスには20件訪問という決まりがあった。
新規のお店、1000件の15%、150件を3か月で獲得するには新規で50件/月
15人の営業マンが毎月3件の計画
商談率10%、商談決定率25%、1件への訪問は3回、1人当たりの訪問件数20件x22日=440訪問
440訪問/3回=146店 146店x10%x25%=3.5件の獲得
【念仏】
目標を行動計画に落とし込んで、念仏のように唱え続けさせた。
「コア商圏・飲食・居酒屋・1/9 3回連続受注・20件訪問・インデックス営業」
【サマフェス】
研修と称して、年に一度、温泉旅館で遊びまくる大会があった。
事業はおもしろくて、楽しくなければならない。一緒に楽しみ、頑張り、喜びを分かち合える仲間がいなくてはならない。
【リーダーとは物語を語る人】
事業について夢、想い、覚悟、経験、スキル、知識、人格が現れる物語を語れるようになること。
リーダーは実現しようとすることや目指す方向とその方法を一言で表現するコンセプトを明示しなければならない。
その姿や状態を全員が理解して共有できる具体的な形をデザインしなければならない。
そのデザインは目に見えて理解でき、人の心に働きかけるものかどうかを試される。
さらに、より具体的な行動をシンプルな型にしたプランを用意できなければならない。
確かに、優秀で、周りを動かしていた先輩はこのような素質を備えた人だった。
【リーダーに必要な技術】
・高い志を掲げる技術
・事業を設計する技術
・伝える技術
・実行する技術
・育てる技術
・評価する技術
・愛される技術
【決めるチカラ】
自分でひとつの答えを出せない人間はリーダーになれない。
決めなければ覚悟が定まらないから。
リーダーが決められず迷っているため組織全体がさまよって組織力の阻害をするのでは、
もはや組織を率いるリーダーではない。
確かに、トップが決めてくれれば、下は安心して業務にまい進できる。
実体験からも納得がいく。
ホットペッパーの成功は、確かにアイデアの秀逸さもあるだろう。
だけど、そのアイデアを事業として形にし、戦略を明確にし、そして業務に落とし込んで実行した。
このビジネス力が成功を引き寄せたことは間違いない。
戦略に直結した実務が大事ということをこの本は教えてくれる。

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