外資系トップの仕事力 ISSコンサルティング

日本人で、外資系でバリバリやって、
トップ(といってもリージョナルダイレクター的なポジションが多いけど)に登りつめた人達が、
何を考え、どう行動し、どうやって仕事してそのポジションにたどり着いたのかを紹介した本。
ISSコンサルティングという、外資系企業を中心とした人材紹介会社が出版した。2006年初版発行。
本書で取りあげられた人達。肩書は当時のもの
魚谷雅彦 日本コカ・コーラ(株)代表取締役会長
柴田励司 マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(株)代表取締役社長
新宅正明 日本オラクル(株)代表取締役社長 最高経営責任者
関口康   ヤンセン ファーマ(株)代表取締役社長
平野正雄 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンディレクター 
グレン・S・フクシマ エアバス・ジャパン(株)代表取締役社長
藤井清孝 LVJグループ(株)代表取締役社長 ルイ・ヴィトン ジャパン カンパニープレジデント&CEO
藤森義明 日本ゼネラル・エレクトリック(株)代表取締役会長 GEコンシューマー・ファイナンス・アジアCEO
安田雄典 BNPパリバ 在日代表
山中信義 日本エマソン(株)代表取締役社長
脇若英治 BPジャパン(株)代表取締役社長
ラヴィ・チャタベディ プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(株)取締役社長
経歴をみると、ほとんどの人がMBAを出ている。
外資のマネジャーになるにはMBAがほぼ必須条件であることがわかる。
一つ思うこと。
世界に名だたるグローバル企業は、その理念、企業価値観、事業内容、人の扱い
全てにおいてやっぱり優れているということ。
個性、多少の歪みはあるだろうけど、普遍的価値がそこにあること。
そこで自由に能力の限りを尽くして勝負して、駆け上がっていた上の人達の人生は、幸せの形の一つに違いない。
組織の一員として事業を発展させ、貢献し、その中で自分自身の人生を生きる生き方。
社会に大して役に立つことをする、社会を発展させるという大義名分の一翼を担っていると実感できる生き方。
尊敬されるグローバル企業はそのように人が生きられるよう人を使うし、
また所属する優秀な人もその組織をそう生きるように使う。
グローバル企業は、まるで公共事業を国境を跨いで行う政府組織を超えた崇高なものにすら見えてくる。
競争は激しい。
勝つ者もいれば負ける者もいて、
負けたら去らなければならないシビアさもある。
だけど、それは雇用の流動化でカバーすればいい。
企業の責任ではない。
それ以上に、年齢、国籍、性別関係なく、(MBAという資格は必要)、挑戦できる環境、
その挑戦が社会の貢献にもつながっていると実感できるダイナミックな仕事ができること、
その組織に属する個が大切にされること、
こうしたことに外資系で働く価値ってやっぱりあるんだと思う。
山中氏によれば、アングロサクソンが現在リードしているグローバルスタンダードには三つの要素があるという、
一つ目、オプティミズムで人を集める
二つ目、寛容性で受け入れ、我慢する
三つ目、リアリズムで判断する
だけど、外資とか言う言葉が使われている日本のドメスティックぷりに辟易する。
日本企業、典型的サラリーマンの置かれた境遇の差。
どこも依然として年功序列。個より集団。
でっかい仕事、やりがいのある仕事ができるようになるのは、社会人になって20年も30年も過ぎた50前後になってから、
しかもそのころにはピラミッドの上の方にいて、仕事の現場と切り離されている。
個の入り込む余地がほとんどない。
今でこそ、ワークライフバランスが叫ばれ、深夜まで残業させる会社は減ってきた。
それでも、古い体質はルールが変わればすぐ変わるというものではない。
その根底に流れる価値観が普遍的なものでなければならない。
日本は遅れている。
日本企業も少しずつ変わるとは思う。
でも、いつ変わるのだろうか。
少なくとも今はまだ変わっていない。
変わっているのはIT企業とか新興の新しい会社だけに見える。
ゼネラリストばかり育てて、年功序列のはびこる日本は一度痛い思いをしなきゃいけないだろう。
痛い思いをすれば、きっと日本企業も変われるだろう。
でも変わる前に、日本企業が倒れず踏ん張れるだけの体力が残っていることを祈る。
海外のグローバル企業を知れば知るほど、日本の企業の馬鹿らしさが目に付いてしまう。
そんな組織に所属していていいのだろうか。
若さとは消費されるべきものでは無いと思う。
そのエネルギー、パワーはもっと有意義に活用されるべきもののはず。
そういうメッセージを外資で働く人たちは発信する。
こうしたビジネスマントップの人達でさえ、必ずしも人生設計を描いて、その通り生きていないことがわかる。
右往左往、回り道はみな同じ。
大抵は尊敬する人に誘われたから、困っている人がいたから、といった身近なところからキャリアが出発している。
でも仕事に取り組む真摯で謙虚な姿勢、でっかいこと、面白いことがしたい、チャレンジしたいという情熱、
そのために終身雇用を失う程度の多少のリスクはとってもいいという覚悟
こうしたものは共通している。
藤井氏は言う。
まず必要なものは情熱だと。
次に、与えられた運命の中でベストを尽くす、ということ。
安田氏は言う。
「リーダーって何だと思いますか」と聞かれて思ったのは「無私と夢」です。
成功は束縛であり、失敗は解放。人生は挫折と失敗で終えたい。
山中氏は常に二枚のSWOTを持っているという。
一枚は、過去の仕事の経験に基づき作ったもの
もう一枚は、過去や仕事とは関係なく、一人の人間として作ったもの
この二枚から目指すべきところを見ているのだと。
彼らに共通しているもう一つの点がある気がする。
それは、彼らが自分から事業をゼロから作り出しはしないこと。
ここが起業家と違う点。
共感する価値観をもつ組織、人に出会い、動かされ、また自ら率先して動き、
その価値観を発展、拡大するために行動している。
いい意味で、企業戦士としての理想の姿。
悪い意味では、組織の一歯車としての個を脱出しきれていない。
でも、結局人は会社に所属せずとも社会に所属し、その中でしか生きられないのだから、
組織に所属するか、所属せず自分で組織を作るかは大した違いではないのかもしれない。
でも、僕は後者のほうがカッコいいと思ってしまう。


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