この本は、2025年、未来はどのような世界になっているかを予想し、
それに立ち向かうためにどのように働き方、更には生き方を変えていくべきかを説いた指南書。
リンダ・グラットンはロンドン・ビジネススクールで教授を務める女性。
経営組織論の世界的権威で、この本のそでに書かれた紹介によると、
英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとりである。
ビジネス思想家というのが何なのかよくわからないが。
さらにファイナンシャルタイムズでは「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、
さらにさらに英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」に名を連ねるすごい人らしい。
2012年に発売された本だけど、僕はこの本が気に入っているので、本棚に置いてあり、
最近また取り出して読んだ。
将来何を目指すべきか、何を目標に生きていくべきか、どんな仕事をするべきか、
そして、それに備えるためにはどうしたらいいか。
たまに立ち止まって自分の今、過去、これからを振り返る。
そういった時にこの本は一つの参考になると思っているから、僕は本棚に置いているのである。
リンダ・グラッドンはたくさんの知識人との意見交換やインタビューの末、
未来の予想図が出来上がったと書いているけど、
将来、少なくても10年後くらいの近い未来は、どういった方向に進んでいきそうか、
誰もがぼんやりとわかっているのではないかと僕は思う。
それをしっかりと箇条書きにしてくれているのが本書。
リンダ・グラッドンは今後未来に重大な影響を与える5つの大きな要因があるといっている。
1.テクノロジーの進化
2.グローバル化の進展
3.人口構成の変化と長寿化
4.社会の変化
5.エネルギー・環境問題の深刻化
1.テクノロジーの変化には次のような要素がある
テクノロジーが飛躍的に発展する/世界50億人がインターネットで結ばれる/どこでも「クラウド」を利用できるようになる
生産性が向上し続ける/「ソーシャル」な参加が活発になる/知識のデジタル化が進む/メガ企業とミニ起業家が台頭する
バーチャル空間で働き、「アバタ―」を利用することが当たり前になる/「人工知能アシスタント」が普及する
テクノロジーが人間の労働者に取って代わる
2.グローバル化の進展には次のような要素がある
24時間・週7日休まないグローバルな世界/新興国の台頭/中国とインドの経済成長/倹約型イノベーション
新たな人材輩出大国の登場/都市化の進行/バブルの形成と崩壊/世界中に貧困層の出現
3.人口構成の変化と長寿化には次のような要素がある
新世代の影響力が拡大する/寿命が長くなる/ベビーブーム世代の一部が貧困化/国境を越えた移住が活発に
4.社会の変化には次のような要素がある
家族のあり方の変化/自分を見つめなおす人が増える/女性の力が強くなる/バランス重視の生き方を選ぶ男性が増加
大企業や政府に対する不信感が強まる/幸福感が弱まる/余暇時間が増える/
5.エネルギー・環境問題の深刻化
エネルギー価格が上昇する/環境上の惨事で住居を追われる人が増える/持続可能性を重んじる文化が形成されはじめる
こういった世界の変化に対応するため、そして幸せに生きるために、
リンダ・グラットンは以下のシフトを行う必要があると言っている。
第一のシフト―ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
ようはネットで手に入るくらいの知識しかもたない広く浅い人材ではもう役に立たない、
しかも専門分野も長い寿命より短命だから、いくつもの分野で専門家になれということ
第二のシフト―孤独な競争から「協力して起こすイノベーションへ」
世界は複雑化し、他人を蹴落とせば一人でも上に行けるほど物事は単純ではなくなる。
困ったときに助け合う能力が高くて分野の近いポッセ、
沢山のアイデアを取り入れるためのビックアイデア・クラウド、
そしてバーチャル化して希薄になりかねない生身の人間関係を失わないためのコミュニティ
この三つを作れということ
第三のシフト―大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
金をもらって、使うのが人生ではない。経験のほうが重要であり、創造のほうが満足を得られるではないかということ
もはや、この三つのシフトは至極当然のことで、何ら目新しさを感じない。
今時、大量消費を志向している人間がまだいるのか見てみたいくらいだ。
むしろこんなことを真面目に語っていることに僕は若干の滑稽さを感じた。
本書でY世代と呼ばれる若者は、多かれ少なかれ、このようにシフトしている、
というか始めからそのように育っていると言ってもいいと思う。
そこで、思うこと。
世の中も、社会も、その仕組みも、ルールも、時間と共に変わるのだということ。
今の親世代が経験した社会の仕組みなんてものは、その時代に生きていると絶対に思えたけど、
実際にはほんとにその時代だけの刹那的なもので、時代と共に簡単に壊れ、移ろっていく。
今後50年も経てば消え失せている可能性が高い。
だから、今の社会の通念に縛られ、みんながそうだからといって大企業に入ったり、
周りとくらべて自分の給料がどうか、どんぐりの背比べをしたり、
自分を殺して、会社のために働くことが正しいと思ったり、その結果何も選択しなくてすむ安心感を得たり、
そういったことは止めて、自由に生きればいいんだよね。
でも、やっぱりエネルギー価格は将来上がるんだろうなー。
風力発電とか太陽光発電のような再生可能エネルギーでは到底、今のエネルギー需要をカバーしきれない。
もっともっとすごい発明が必要になるけど、そう短時間には実現しなだろうし。
人口はまだまだ爆発的に増加している。そして、発展途上国が先進するにつれて大量消費の仲間入りを始める。
今は、シェールオイルのおかげで供給が需要を上回りWTI原油先物価格は40ドルを割って
5、6年ぶりの原油安だと騒がれているけど、そう長くは続かないだろう。せいぜい2、3年のこと。
逆に、絶対に値下がりしない投資先がまさに原油なんじゃないだろうか。
世界の投機家は数年先までしかみてないから原油に投資しない。
だけど、使わないで最悪超長期に捨てておいていい金なら原油は絶対安心。
僕は、今積み立てて購入するなら原油だと思うなー。
せっせと原油ETFを買い貯めているヒロでした。
ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図“2025” / リンダ・グラットン 【単行… |