アル・ゴア 未来を語る 世界を動かす6つの要因

アル・ゴア元アメリカ副大統領はビジネス界、政界で活躍している人。

かなり凄い人である印象を受ける。

そんなアル・ゴアが腰を据えて未来と、未来への対策を考え、米国人に訴えたのが本書。
邦訳が出たのは2014年10月。
かなり濃い内容だが、今でも読む価値あると思う。
特に政治家だったアル・ゴアから見えている世界は、ビジネス界が見ている世界とは視点が違って面白い。

政治が決める正しい政策によって世の中は正しい方向に動いていくなるのだということを改めて感じる。
自由経済が自由にやって向かう先は利益の最大化でしかない。

P21:私たちには地質学的時間を想像することは非常に難しいにもかかわらず、私たちは地質学的な意味での威力になった。

それで私たちは未来に対してどうするのか。

p48:世界全体のGDPは今後5年間に25パーセント近く増大すると予想されるが、国境を超える資本の移動は、GDP増大の3倍のペースで増加し続けると予想されている
p70:生産量に比べて雇用がはるかに少ない経済がくる

第一の要因:アースインク

地球規模に密接に結びついた、一個の企業体ともいえるようなエコノミーが出現する。
アウトソーシング、ロボットソーシング、セリフソーシング
技術資本による雇用減→格差拡大。下層階級の可処分所得減による需要減。

第二の要因:グローバル・マインド

人と人の思考もインターネットによって自由に結びつく。
これは国家や企業によって操作されないという意味で、希望。

第三の要因:力のバランス

かつては
共産主義 vs 資本主義
だった。
しかし、共産主義が倒れると資本主義の中でも緊張が高まり始めた。
それは民主と資本の対立。

民主的資本主義の多国籍企業による侵略

企業が政治を動かし、法律を作るようになった。

これによって、アメリカの信用、リーダーシップは失われつつある。
そして中国が台頭しつつある。

第四の要因:増殖

人口は増加する。100億人〜150億人に至るまで。
それを賄うための天然資源の枯渇
石油、リンなど希少資源、表土、地下水、海洋資源の破壊、枯渇は避けられない。
GDP計算式の問題。GDPは資源の利用に関して何も計算に入れない。
資源の利用を 「引き出し」でなく「収入」と扱う致命的な会計制度。
こうした不合理な指標に従って、人間の活動は方向づけされている。
このKPIを達成しても、持続可能な成長は期待できない。

第五の要因:生と死の再創造

クローンは正当化されうるか?人間でも植物でも。
正義の制御の効かないこの世界で、倫理的秩序を保ち、人類として正しい決断ができるか

第六の要因:がげっぷち(自然環境崩壊)

二酸化炭素排出による地球温暖化は疑いようのない事実。疑問を呈すること自体が間違えている。
炭素排出業者(要は大企業)が団結を阻止している。
協力せねば 死ぬ。
アル・ゴアのメッセージは一貫している。

政治に金を持ち込むな
特定利益団体(大企業)は人ではない。
人とは行動理念が異なる。利益の最大化しか考えていない。
大企業を法人。つまり人として扱うことは間違っている。
人の尊厳を取り戻そう。

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