年収300万円時代を生き抜く経済学 森永卓郎 ①

今回は森永卓郎さんの代表作。
サブタイトルは「給料半減が現実化する社会で「豊かな」ライフ・スタイルを立する!」だ。
この本は主に3つのテーマにわかれていて。
1つ目が小泉政権陰謀論と、如何にデフレが悪でインフレが良いかの話。
それから2つ目の、アメリカ型政策で所得格差が進むという話に展開。
最後に3つ目、負け組みになっても300万円~400万円って世界的にみて裕福だから、給料が減っても楽しもうという結論で締め括られる。
なので僕もブログを3つに分けてこの本を題材に色々考えてみたい。
タイトルだけ見ると、後半部分に焦点が当てられんているけど、
個人的にこの古典(2003年発行)の面白いのは前半部分だと思う。
まず森永卓郎さんとはどういうひとか。
オフィシャルWEBサイトによると
1957年生まれ。
東京大学経済学部卒
日本専売公社に新卒で入社してキャリアをスタート。
その後は、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局、三井情報開発総合研究所、UFJ総合研究所と研究所を転々としまくって、2007年に独立。獨協大学の教授という手堅いポジションをベースに自称経済アナリストとして活躍している。通称はモリタクらしい。キムタク的なイメージだろうか。
年収300万円の中流以下の人たちに寄り添うような本を多く出してきた反面本人の年収はそれを圧倒的に超えているに違いないため、弱いものを食い物にしている金の亡者とよく言われた。
この本が書かれた当時は小泉内閣が「抵抗すれば自民党をぶっ潰す」とカッコいいことをいって構造改革を進めようとしていた時代だ。結果大した改革もなされず小泉内閣は終わるわけだが、
不景気だ不景気だと暗い雰囲気だった日本では小泉内閣は当初とても支持された。
そしてたくさんの企業(2002年1万9458件(負債1000万円以上)は84年以来戦後2番目とのこと)を倒産に追い込んだ。
上場企業も29件が破綻し、過去最悪だった。
デフレを放置し、失業率の増加に伴い自殺率は2001年で1995年対比36%増の24.4人(10万人当たり)に増加。
年間1万人以上を殺したという。9.11の4倍だ。
そして相続税の減税など金持ちに有利な政策を推し進めた。
根本は、政府の陰謀論であって、金持ちが金持ちになるための政策であるとモリタクは批判している。
その仕組みはこんな感じ。
①ITバブルを起こして、成り上がるための「頭金」を作る
②デフレで企業を追い込む(土地担保主義の日本で地価が下落している状態で借金を返せと迫って倒産させる)
③不良債権処理を強行して、放出された不動産を二束三文で買い占める
④デフレを終わらせてキャピタルゲインを得る
⑤さらなる弱肉強食社会へと転換する
デフレを続けるも、終わらせるも実は意外と簡単であったことが、現在の安部内閣で実証されつつある。
本書でも書かれているとおり、本気でデフレを終わらせると宣言して、国民期待を高めれば良いだけ。
楽観的な期待が高まれば、それが消費を生み、現実となっちゃう。そして景気が本当に回復してしまう。
日本では使われずに眠っているお金が莫大だから、気持ちを変えてあげるだけでどうにでもできてしまうのだ。
株式市場が、既に経済実態を反映しておらず、感情で動いていることからもこれは明らか。
それをせずに、企業を潰しまくったのは、それで弱者を大量に生み出して、金持ちになるためという訳だ。
このモリタクの論旨は、国家陰謀論が好きな人に響きそう。
有名な以下スライブで語られている、一部の特権階級が支配しているという話と通じるものがある。
この動画を観たことが無い人は一度みることをお勧めします。


銀行は金を貸して利子をとる。借りた人は物を買う、売った人は金を銀行に預ける。この金を使って銀行はまた人に金を貸せる。そしてこれが永遠と続いていくという話や、景気循環を起こして弱者から資産を巻き上げる話は経済のことを理解するいい教材だ。
格差が広がると何が良いか。
金持ちはもっと安く、人を自分のために使うことができるようになるということだ。
これが日本が目指す、アメリカ型社会の本質だ。
これは香港でも同じ。
香港では5万円程度で住み込みの家政婦を雇うことができる。
これは経済的弱者がいてくれるからこそできる贅沢だ。
家政婦が幸せになることは建前上誰もが望むだろう。
だけど、貧乏人がいなくなる社会を金持ちは決して望まないのだ。
その分だけ奴隷がいなくなってしまうから。
貧富の差があるほど、金持ちにとって素晴らしい世界が待っている。
ただ、余りにも貧富の差が進むと牙をむかれるので、
「農民は生かさず殺さず」
が昔からもっとも優れた政策となるんだろうけど。
貧富の差が無い世界は、マッサージの値段、タクシーの値段、エステの値段、全てのサービスの値段が高くなる世界ということになる。
こういう世界をどう思うだろう。
人のことを考えなければ、マッサージの値段が高くなるのはいやだな。
だけど、人のことを考えたら、マッサージは少し我慢してもいいかもしれない。
アメリカ型の格差社会についてが本書の二つ目のテーマになる。


                              これは新版


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