ニッポンの大問題 池上彰

池上彰っていうおじさんはとても人気ですね。
もともとNHKの記者で、「週間こどもニュース」というNHKの番組でお父さん役をつとめたこのおじさん。
わかり易い解説が人気で、もう知らない人はいないくらいテレビに出てる、現在はフリージャーナリスト。
僕は香港に住んでいるので、そのわかり易いという解説を見る機会もないわけですが、
著書が売られていたので読んでみました。
2014年3月20日発行なので、かなり古いからもう情報としての賞味期限が切れている記事もある。
「週間文春」でのコラム「池上彰のそこからですか!?」の総集編らしい。
なので個別の問題のさわりだけ取りあげて、深堀はあまりされていない。
かるーく、日本の政治、制度、国際事情のことをおさらいするには役立つのかもしれない。
池上彰さんは入り口を優しく教えてくれる小学校の先生みたいなもので、
深堀したかったら、卒業しなきゃいけない存在なのだとおもう。
書いてあった内容からピックアップ。
「集中講義 日中大激突! 5つのチャイナリスク」
リスク1:公害問題と食の安全。これってホントにリスクなんかな?僕は香港で中国産を食べまくってるけど。
リスク2:格差拡大で暴動へ。うまく統制されちゃっている中国で、暴動なんて本当に起きるかな?
リスク3:不動産バブルが崩壊。こればっかりはいつか弾けるでしょう。経済をコントロールすることは難しい。でもいつ?
リスク4:労働者が減ってくる。製造能力には限界があることは明確。その時点までに先進国になっていればいいのでは
リスク5:軍が暴走する。中国の人民解放軍は共産党の軍外。これは統制してもらわないいと日本にも被害が出そう。
池上彰さんの世界を見る視点はまともで、正当派。
工業力に欠ける開発途上国にとって、労働者の手作業に頼る繊維産業は手っ取り早い経済成長の原動力。
その際の国際競争力の源泉は人件費の安さ。
繊維産業は、イギリスに始まり、アジアの日本、台湾や韓国を経由して中国。
さらにはベトナム、カンボジアからミャンマー、バングラデシュに至っている。
これ以上、服を作ってくれる国が残っているかな?
確かにファストファッションはどこかで限界が来そう。そんなに服が安いわけないんだよね。
ブータン 「幸せの国」から「普通の国」にに。
人口70万人の小国ブータンはインドに頼っている国。
独自のGNH(国民総幸福量)を国の発展の指標にしている。
GNHは四つからなる。
・持続可能で公平な社会経済開発
・環境保護
・文化の推進
・良き統治
王政から立憲君主制に移行後、計画経済から市場経済に舵切り。
電気の普及率は65%から95%以上に上昇。
そのせいでテレビを見ることができるようになり、消費ブーム発生。
仕事を求めて主都に出てくる若者急増。
住宅不足のためマンションやアパートの建設ラッシュ。
急激な経済成長のために伝統文化の破壊が進行。
ブータンも他の国と同じ道を辿り始めている。
池上彰さんは言う。
「ブータンって、これまで単に経済が遅れていただけの開発途上国だったのではないか」
経済発展とか便利になることとかと、幸せは必ずしも相関関係に無いのだけど、
消費の魅力は人間を虜にしちゃう。
否が応でも。
持たざるものであればあるほど、その誘惑は強烈。
経済は結局、人間社会全てを飲み込んじゃって、
やっぱり経済無しでは人間活動も、幸せの尺度も語ることはできないんだろうな。
古き良き生活。人生。生き方。
そういった郷愁は郷愁でしかなくて、
まずは世界全体の生活水準が向上するしか、人に次の世代はないのかな。

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