来るべき民主主義 國分功一郎

國分功一郎さんは、端正な顔つきの人だけど、哲学者らしい。
早稲田を出て、東大の博士課程を修了。
哲学をその基礎としながら、民主主義などの政治の世界がどうあるべきかをあれこれ考えているものと思われる。
この本で言いたいことは明快。
今は、民主主義と言っているけど、議会制民主主義で、
実態には民衆が主権を持っているというにはあまりにも政治の世界に対する影響力が無い。
立法するのは議会であり、予算を承認するのも議会である。
議会が大きなところは決めていて、そこで議決する議員を送り込む選挙をするときにだけ、
民衆は政治の意思決定に関わることができる。
ただし、実際の政策は、執行をつかさどっている行政がほとんど決めている。
行政が決めたことに、民衆が口出しできる機会はほぼない。
そのせいで理不尽な思いをしている民衆は沢山いる。
住んでいる場所のすぐ横に道路一本作るべきか否かにすら、今は民衆が関わることができない。
だから、立法に関われるだけでなく、行政にも関われるようにしていこう。
その方法として、
1.住民の直接請求による住民投票
2.住民参加型のワークショップによって行政を決めていくこと
3.パブリックコメントの活用
言いたいことはとても良くわかる。
自分の関与しないところで、勝手に誰かが決めたことが、自分にとって好ましくない事態をもたらすとしたら、
人は怒りを覚える。だからその決定プロセスに少しでも前向きな形で関与したいと思うのは当然だと思う。
費用と効果のバランスで、正解は無い。
それを実現するための施策として強化パーツをどんどん付け加えていこう、
と國分さんは言うわけだけど、その強化パーツとして挙げられた例が若干物足りない。、
住民投票、ワークショップ、パブリックコメントの三つだけ。
ようは、結局のところ、行政に参加していこうといっても、それはとても難しくて、理想でしかないということ。
現実的な方法はとても限られているということ。
重要なのは、全体にとっての正解が正しく選べているか、ということに尽きると思う。
みなの希望全てが叶うように行動を決定することは現実的には難しい。
不満を持つ人が出てくるのは必然。
全体の幸福向上が、副産物的に生ずる不幸を大きく上回っているか、
向かっている方向性は本当に正しいのか。
特定の人物、団体の利益に偏らないように、民衆全体として取るべき行動を如何に判断し、決めていけるか。
それが問題なのではないだろうか。
実現するにはどうすればいいか。
やっぱり政治を決めて、政策をきめて、執行する人達が何が正しいのかわかっていることが、
一番重要だよね。
みなわかって生きているんだろうか。
わかっている人がこの世にいるんだろうか。

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