起業家 藤田晋

藤田晋(Fujita Susumu)は株式会社サイバーエージェント代表取締役社長。
1973年福井県生まれ。
97年、青山学院大学卒業後、
人材会社の株式会社インテリジェンスに入社。
翌98年に株式会社サイバーエージェントを設立、
代表取締役社長に就任。
2000年に史上最年少(当時)の26歳で東証マザーズ上場。
この本は、ネットバブルが崩壊した2001年秋から、2012年までのサイバーエージェントの成長を
社長である藤田晋の目線から書いた告白本だ。
そして、アメーバの成功と自身の功績についての自慢本である。
この本を読んで思い出したのは、マーク・ザッカ―バーグだった。
アメーバの成長とフェイスブックの成長は非常に似ている。
ずっと赤字を垂れ流し続けるサービス。
ページビューというKPI一本に集中して、顧客満足度を高めることに経営資源を投下。
売上は後からついてくるから見ない。敢えて無視する。
サービスの向上が、ページビューに繋がり、やがて売り上げとなって損益分岐点を超える。
すべて同じだ。
大きく違うのは、一つのサービスを始めたときの周辺状況。
サイバーエージェントは広告代理店ビジネスとして売上重視の経営をしてきた。
従て、技術力もなく、またページビューやユーザーインターフェースが価値になるということを理解できる人が当時は全くいなかった。
そんな中で、何年もあがき、もだえ苦しみ、最後は自分が責任者となってサービスの開発に取り組むことで、
周りを変え、ビジネスを軌道にのせ、目標を達成し、利益を稼ぐまでに成長させた。
これが大まかな話のながれ。
サイバーエージェントはメディア事業としては長年独自の価値を生み出していなかった。
したがってアメーバの成功はある意味、第二の起業のようなものということができる。
フェイスブックはもともと技術力に秀でた少数精鋭チームだった。
そして、上場しておらず、ザッカ―バーグが会社の決定権を意識的に保持していたから、
投資家の批判にもさらされず順調に戦略的にサービスを成長させることができた。
サイバーエージェントは既に上場してしまっていた。
四半期ごとに市場の目にさらされることになった。
このせいで藤田晋は二重の苦しみを味わった。
あらゆるネットビジネスが大局のところで同じような軌跡を歩んでいるのは面白い。
それをどう受け止め、どう乗り越えていくかは、起業家によってそれぞれだ。
藤田晋氏は、社長業を半ば放棄し、アメーバの総合プロデューサーになったと語っている。
この点に違和感を感じた。
確かにアメーバは成功したかもしれない。
藤田氏がそのように社内の変革を行わなければ、この成功はなかったかもしれない。
しかし、トップにいた人間がまた下に降りてきて、
一つの事業に足をどっぷり浸けて、現場レベルにまで指示を出していたということに気持ち悪さを感じた。
それ以外の部署が士気を失わず、へそを曲げず、順調に成長を続けていたことに驚きを感じる。
アメーバの成功は藤田氏の功績かもしれない。
しかし、藤田氏がそのような暴走をしていた最中。
しっかりと会社の屋台骨を支え、組織を維持し続けたその他経営陣や従業員。
本当に賞賛されるべきなのはその人たちではないかと思う。

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