この本は未来を考えるのに有用なポイントが詰まっている。
でも読むのに時間がかかる。。もう少し書き方があるのではないかと思う。それとも訳が悪いのだろうか。
沢山のデータを集めて、結論を導き出す。
まさにコンサルらしい本だけど、引用される沢山のデータの意味、解釈の仕方について本文中では十分に説明されない。
詳しくは30ページに亘って紹介されている膨大な参考文献を読むように。
そうはいっても、その大枠の考え方を理解したいだけの読者にもう少し優しく書いて欲しいもの。
一つ一つのデータの意味を咀嚼するのに時間がかかる、というか説明不足なので本文を読むだけでは推測するしかないのだが、
そういうことをすると眠くなってくる。
なので、この本を読み切るのに1ヶ月くらいかかった。
我々は直感力をリセットしなければならない。
これが本書で述べられるテーマ。忘れたころに度々言及される。
今までの延長線上の考え方ではだめで、新たな事実、状況とそれに合わせた物の考え方をしろ、ということ。
4つの強大で破壊的な力
①経済の重心の移動
②テクノロジー・インパクト
③地球規模の老化
④「フロー」の高まり
経済の重心の移動
移動は東南。
2025年までに中国に本社を置く企業の数は、アメリカあるいはヨーロッパに本社を置く企業よりも多くなり、
売上10億ドルを超える世界の大企業の半分近くは新興国の企業になるだろう。
2010年から2025年の間、世界のGDPの成長のほぼ半分が、新興国の440都市により生み出されると予測される。
こうした都市の95%は中小規模の都市であり、西欧企業の経営者はその名前すら聞いたことない。
・どの地域でも1人当たりGDPは都市化比率と平行して増加してきた。
2025年までに、アジアでは25億人近くが都市部に住んでいる。都市住民の2人に1人はアジアにいることになる。
過去数百年の間、都市住民は農村部に住んでいる人の1.5倍〜3倍の生活水準を享受してきている。
都市=生産性の幾何級数的な向上
都市の人口が倍になるたびに、住民1人あたりの所得、生産性、それにイノベーション性向が15%増加する。
1990年から2025年の間に、世界で30億人が消費者層(1日10ドル以上の可処分所得)に加わる。
インドは2030年には世界第三位の経済規模になる。
2030年までに、都市人口はおよそ6億人になる。アメリカの現人口の2倍近い。
将来インドには世界人口順位5大都市のうち2つが存在し、100万人を超える人口の都市が68になる。
テクノロジー・インパクト
電話が5千万台の電話機への接続を達成するのに、50年かかった。
ラジオが同じ台数普及するには10年がかかった。
ところが、アイポッドが5千万人のユーザーを獲得するには5年、
スカイプの同様な普及には2年しかかからなかった。
携帯電話ゲーム「アングリバード・スペース」が5千万ユーザーを獲得するのに35日。
電話の普及速度の500倍。
2025年までに太陽光発電と風力発電による発電量は、世界発電量の15〜16%にまで増加する可能性がある。
自動車用リチウムイオン電池パックの価格は、2025年までにメガワット・アワー当たり500ドルから160ドルに下がる。
今後10年の間に破壊力を持つ12の技術
1.次世代のゲノム科学
2.新素材の開発
3.エネルギーの貯蔵
4.石油とガスの採掘、回収技術の進歩
5.再生可能エネルギー
6.ロボット工学の進展
7.自律的あるいは自律的に近い自動車
8.3Dプリンティング
9.携帯機器によるインターネット
10.IoT
11.クラウド技術
12.知識作業のオートメーション化
共通項はデジタル化。
新技術の時代では、消費者が王様。
インターネット上で新たに提供されるものによる価値創造の3分の2は、
価格の低下、生産性の向上、選択肢の拡大や便利さといったかたちで把握される消費者余剰として享受されてしまう。
消費者余剰=消費者が支払ってもよいと考える金額ー財に対して実際に支払われた価格
技術革新による混乱は、混乱を引き起こしたほうにも、引き起こされたほうにとっても、投資に対する期待値がマイナスになる、
マイナスサム・ゲームとなってきた。
2003年のアイチューン発表の後、118億ドルあったレコードやテープといった物理的メディアによるアナログ音源の売上は、
2012年には71億ドルまで低下。音楽産業全体の売上は半分以下に減少、便益を一番得たのは消費者だった。
2000年から2013年の間に、農産物、金属、エネルギーといった資源の商品価格はほとんど2倍に上昇した。
価格上昇への4大圧力
・需要の絶えざる増加 ー 消費者層に加わる30億人
・行き詰まる供給力 ー 天然資源の埋蔵量の急速な枯渇
・過剰な相互連結性の増加 ー 資源同士の価格に強い正の相関
・環境コストが価格変動を増大させる ー石炭コストに健康及び環境保護コストが含まれると、価格は170%上昇する by ブルッキングス研究所
太陽光発電の設置コストはこの20年間で、発電能力1ワットあたり8ドルから10分の1に低下した。
国際エネルギー局によれば、2050年までに世界最大の電力源は太陽光になる可能性がある。
地球規模の老化
そもそも人口が頭打ちになる世界で、経済発展の可能性が本当にこれからもあるのか
65歳以上の人口が20%を超える「スーパー老人国」の数は現在の3カ国(ドイツ、イタリア、日本)から2020年には13カ国になる。
2030年には34カ国に増加する。
日本 2010年 81百万人の労働人口は2050年には55百万人へ、32%減少。
中国 2010年 1000百万人の労働人口は2050年には849百万人へ15%減少。
フロー(流れ)の高まり
アジアが最大の貿易地域に変貌。
新興国が今や世界全物流の40%を占める。このうち60%は新興国間の取引。南から南への貿易と呼ばれる。
モノ、サービス、金融、人、データ
国際的移住者の数は、国連の経済・社会問題局によると1960年に7500万人だったが、2013年には2億3200万人に増加。
1950年の国外旅行者数は2500万人。2013年には10億人を超えている。
旅行産業の世界GDPに与える影響は2兆ドル。
資本コストが下がり続ける時代の終わり
需要の上昇と供給を減らす圧力という組み合わせの行き着く結果は一つしか無い。高価な資本の時代の到来。
一方で、量的緩和の継続によって、資本コストは低いままかもしれない。
労働市場は、企業ほどには柔軟性が高くない。
今日、最も価値の高い労働者が行っている仕事は「インタラクション」と呼ぶビジネス活動。
探索、調整、アイデアやモノやサービスの交換に必要なモニタリングといった内容。
2020年までに
高度のスキルを持った労働者が世界中で4千万人不足し、
中程度のスキル保有者が4500万人出現し、
並行して、低スキル労働者の余剰が9500万人発生する。
25年までにグローバル500社のリストの半分は、新興国を出自とする企業に占められるだろう。
総人口の中のごく一部分に限定された生産性の向上は全体の不平等を助長する傾向がある。
裕福な人達だけが生産性を向上させると、その人達が人数比例を超えた利益を享受する。
生産性向上の4分の3は、単純に「追いつき」改善。つまり既存のベスト・プラクティスが後半に普及し、採用されることによって得られる。
残り4分の1がイノベーション。
生産性の伸びに必要な10項目
①サービス産業分野での競争を妨げる障壁の除去
②公的部門と規制部門に効率と業績の管理を導入
③新興国を中心に、物理的及びデジタル・インフラストラクチャーへの投資
④革新的な製品やサービスのR&D投資と、研究開発需要の喚起措置
⑤生産性改善にインセンティブを与え、イノベーションを紫煙する法制の導入
⑥改善機会を見つけるためのデータの活用
⑦データの公開、デジタルプラットフォーム
⑧女性、若者、高齢者の労働市場への参加
⑨移民制度の調整
⑩労働市場の柔軟化
直感力をリセットするために
①自分が変わること
②好奇心と学ぶ気持ち
敏捷性を優先し、重きを置くこと。
10年後あるいはそれ以降には、世界は今よりももっと良い世界になっている。
マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは、4つの力に支配されている [ リチャード・ドッブス ]
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