筆者、中原圭介さんは経済学を「アメリカの金持ちに好都合な仕掛け」でしかないと主張する。
アベノミクスが追随するインフレ経済学は、日本を豊かにするどころか格差を拡大し、
大多数の国民を貧乏にすると。
そもそも「インフレ=好況」と決めたのは誰なのか。それはアメリカの権威ある学者さんたちであり、うそ。
「デフレ=好況」が歴史的な真実であると断言している。
そもそもインフレで好況になるのはどうしてだろう
インフレは借金をしている人にとって有利な状況。
お金の価値がどんどん下がるので昔借りたお金が返しやすくなる。
じゃあ、借金をしているのは誰なのか。
それは国。
借金大国のアメリカはインフレを目指すことによって自分たちの借金を実質的に少なくすることができる。
特に基軸通貨ドルのおかげでアメリカはドル安が借金の目減りにダイレクトに効いてくる。
日本も同様で、海外からの借金は無いから、インフレして円安になっても痛くは無い。
インフレするというのはつまるところ、実質的に国民からお金を吸い上げるだけなのである。
国民が支持する意味がわからない。
ゼロ金利政策で、じゃぶじゃぶとお金を流し、ドルの価値を小さくする。
余ったお金があっても実質経済で需要は限られているので、金融市場に投入される。
株価高騰。先物市場も高騰。
市場で取引される資源、穀物価格が高騰。
ここで、実体経済に帰ってきて、資源高の影響で仕入れ価格が上昇し企業の利益を圧迫、生活費も上昇する。
結果的にこの流れのなかで得をしたのは株投資をしていた金持ちで、
国民は生活費上昇のせいでより損をする。
そして行き着くところは格差の拡大。
これではシナリオとして悲惨すぎる。
では、どこが間違っていたのだろう。
それは需要が限られるという点。
経済理論のもとでは、お金が余って金利も低ければ企業は新規投資をして需要を喚起するはずだと考える。
しかし成長余地の無いところ、需要がそもそも頭打ちのところでは、
利子が少ないというそれだけの理由で投資をする意思決定が生まれようもなかった。
ここに理論と現実の差があると西原氏は指摘している。
インフレには本質的に需要を喚起する面もある。
経済学のもとでは全てのひとは合理的に判断し、
今後どんどん自分たちの貯金が価値を持たなくなるなら、貯めておくより今使ったほうが得。
と考えるはずだから。
しかし、雇用不安、将来の不安におびえる人たちはインフレするからといってお金をつかったりしない。
考えていくと、インフレの良さとはなんなのかが非常にわからなくなってくる。
むしろ物の値段がどんどん安くなるデフレのほうが経済の豊かさという意味で本質的なんではないだろうか。
だって同じお金でたくさんのものを買えるような社会になるわけだから。
今まで日本はデフレであったけれど、それが経済の悪化要因だと悪者扱いする必要など全く無かった。
仮にインフレになって商品を高く売れるようになったからといって、それは錯覚でしかない。
結局、自分たちも高いものを買わなきゃいけないわけだから。
彼の語る話は説得力があり、共感するので参考にするのに一定の価値があると僕は思う。
こういう全うなことを話す人が増えてほしい。
中原氏の世界観はシェールガス革命によるアメリカ一人勝ち、というもの。
それからアセアンとかインドとかも成長していく。
一方で、嘘やズルばかりの中国や資源に頼っているブラジル、ロシアなどは凋落していく。
長い目で投資を考えた場合、中国、BRICsからはそろそろ手を引いたほうが良さそうだ。
そして日本が発展を続けるためにはもっと世界で戦える成長産業を意識的に育てる一方で、
安心してお金が使えるように雇用、賃金水準(労働分配率)を守り、社会保障を持続可能な形に整備していくしかない。
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