なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか? 田中裕輔

マッキンゼー。
外資系戦略コンサルであり、意識高い系の学生やビジネスマンなら誰でも知っている会社だ。
僕は、大学生の頃、これまた意識高い系の友人がマック、マックと言っていて、
マクドナルドか、マッキントッシュのことかと思っていたけど、
意識が高いところにある高給市民にとってマックとは、マッキンゼーのなのである。
マッキンゼーも卒業という言葉が良く使われるように思う。
つまり、AKB48、モー娘。、リクルートなどと並んで、その組織を出て勝負をしている人が沢山いることを意味する。
もしくは組織から追い出されたのか、自ら去ったのかわからないけど、
出た後でも、自らが卒業生であることにある種の思い入れを感じている証拠である。
この意識高いマクドナルドは、戦略系コンサルというサービスを看板に掲げている。
簡単に言えば、重い病気にかかったお客さんのどこが悪いかみつけて、治し方を教えてあげるという深刻だけど、
自分には痛みのない仕事をしている。
または、「ろじかるしんきん具」という名前の検査器具を使って、お客さんの異臭を特定し消臭、美味しく変えるという、
超高額なバリューセットを次から次へと売っている。
普通に会社に就職していては得られない経営者と仕事ができたり、
ハイレベルで、業種も異なる様々な経営課題に数か月単位で次々と関わることができる、
世間的にはビジネスマンの憧れなのである。
そして、意識高い系でMBAとかとっちゃう正攻法な人たちの卒業後人気No1就職候補だったりする。
本書はそんなマッキンゼー卒業生の田中さんが入社してから卒業するまでの軌跡をたどりつつ、
マッキンゼー流とは何かを紹介する内容になっている。
著者、田中裕輔(たなかゆうすけ)さんはこんな人
2003年、一橋大学卒業(高級マックは有名大学じゃないとだめ)、
マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社。
2007年、26歳で同社史上最年少マネージャーに就任(部長クラスみたいなもの)
2009年、カルフォルニア大学バークレー校経営大学院でMBA取得後、
米国において起業し事業売却。
同年、モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エー アメリカ支社においてマーケティング・製品担当上級副社長を歴任後、
2011年1月、株式会社ジェイド(靴の通販サイト ロコンド)の創業に参画。
同年2月、代表取締役に就任。
1年間で22億円の資本を集め、同年9月には訪問者数日本第3位のECサイトに成長させる。
というところで終わっている。
2014年現在、この22億円の資本は全部なくなり、調達した資金を食いつぶす自転車操業をしている。
利益はまだ出てない。
16年に黒字化予定。将来は1兆円の売り上げを目指す。と田中さんは言っている。
むしろ5年間も赤字を出し続けて生きることができる組織があることが驚きだ。
それは高級マックというブランドネームのおかげなのかもしれない。
どんなに経営が苦しくても、トップは夢を語らなきゃいけない。
そうしなきゃ、投資家も、従業員も逃げていき、会社はつぶれる。
ものすごく精神的に厳しい毎日を過ごしているのではないか。
失敗したら、やっぱり元コンサルじゃ実業はダメかと、一転ダメ人間のレッテルを貼られ、
それを引っぺがすことは容易ではない。
田中さんのことは置いておいて、本書に書いてある高級マックの精神はハッとさせられることも多い。
だから、ここに纏めておいて、日々の仕事に活かしたい。
・常にバリュー(価値)を出すこと。バリュー主義
 自分のやっていることが何らかの価値を生み出しているか、常に自問自答しなさい
・そのためにイシューを特定すること。
 その問題は解く意味があるほど重要なのか考えなさい。じゃないと時間のムダよ。
・すべての思考のステップは「空雨傘」であれ
 空(ファクト)→雨(意味合い)→傘(打ち手)の論理的ステップをしっかり踏みなさい
・インパクト志向
 社会に対して影響を与えることを行動原則としなさい
異臭についてもう少し纏めると、異臭にたどり着くまでに3つのレベルがある。
「レベル1」何のクエスチョンに応えるのかを明確にする。そもそも質問なんだっけ?ってことを考えて分析する
「レベル2」アクション仮設も明確にする。解く質問を絞るために、行動につながる質問だけに焦点をあてる
「レベル3」異臭。その質問は解くに値する、つまり時間をかけるに値するほど重要なものか判断する
レベル3の異臭まで最速、最短でたどり着くことが、高級マック社員に求められていることなのだ。
高級マックのミッションステートメントはかっこいい。
「Our mission is to help our clients make distinctive, lasting, and substantioal improvements in their performance
and to build a great firm that attracts, develops, excites, and retains exceptional people. 」
人も大切にしているところが良い。
だからこそ、高級マックに通いたくなる人も多いんだろう。
腐った鶏肉をだす下級マックとは大きな違いだ。僕はそっちに通いたいが。
自分探しのことをマインドサーチとか横文字ばかり使うところもまた、意識高い系にとっては堪らない。
田中さんはバークレーのMBAにも行っていて、その時の経験も少し紹介されている。
田中さんのMBA論
「MBAに行く価値はあるのか」→NO.費用対効果が低い。1000万円の授業料に見合う授業は皆無
「MBAを後悔しているか」→NO.空き時間に成長できたから
空き時間が欲しいなら、なにもMBAでその空き時間を潰す必要もないと思うかもしれない。
けど、それは違うんだな。
意識高い系の人たちは空き時間の間も意識高い系で寄り添い、安心できる大木が欲しいし、
結局何も見つからなくても、後で言い訳で来て、なおかつ箔がつくようなものを求めている。
MBAとはそんな優しさ溢れる木なのですね。
でも、僕はこういう世の中を変えたいという臭い、イシューまみれの人たちが好きだ。
田中さんは言っている。
”必要なのは、自分の人生に対して責任をもって積極的に「志」に向けて突き進むこと”
こういう熱い気もちを持った人と、僕もたくさん仲良くなり、僕も異臭を放ちたい。

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