インベストメント ハードラー 為末大

為末大について

1978年5月3日、広島県生まれ。
アジアパートナーシップファンドに所属していた。
世界大会において、トラック種目で日本で初めて2つのメダルを獲得した陸上選手。
01年エドモントン世界選手権、05年ヘルシンキ世界陸上において銅メダル獲得。
侍ハードラーという異名があったという。

この本が書かれた当時は2006年。帯には 初期投資30万円が現在2000万円に増えた話、と書いてある。
為末大の絶頂機で、その後には2007年大阪世界選手権と、2008年北京オリンピックが待っていた。
そのために新たな挑戦を決意するも、
結果は芳しくなく、オリンピックでの敗北をもって現役を引退した。
今は、スポーツコメンテーターや指導者として活躍している。

ハードラーとしてのトレーニングや、スポーツ選手としての心構えと、
投資家としての心構えの共通項を見出し、
自身の人生観を交えながら、自身の生涯を捧げたスポーツと、生活の支えとなった投資活動の両方を紹介する面白い趣旨の本。
彼はアジアパートナーシップファンドと深いつながりがあり、
当該ファンドはスポンサーとして為末を支えていた。

アジアパートナーシップファンドについて

アジアパートナーシップファンドは、かつてフロリダでの不動産開発から始まり、
通貨危機で資金難に苦しんでいたタイでの不動産開発で急成長したファンドであると本書では書かれている。
資金不足で頓挫したプロジェクトを破格の安値で買い取り、追加資金提供して完成させ、高く売る。
また、そのプロジェクトに付随していた住宅ローンも安く買い取り、完成後回収する。
この仕組みで利益を得ていた。
しかし、タイの復興と共にこうした案件は減少、その後は株式投資に軸を変えていったらしい。
2014年金融商品取引法における偽計の罪によりグループ会社は40億円の課徴金を請求して、話題となる。
当時、中田英寿などもこのファンドに投資していたため、富裕層詐欺としてニュースになった。
しかし、元をたどればまっとうに稼いで儲けていた会社のはず。
事業が頭打ちとなり、ファンドが運用損を出し始め、首が回らなくなって、不正に手を染めてしまった模様。

A.P.F.ホールディングス(株)/破産開始決定 代表:此下益司 昭和HDなどのAPFグループ
グループは2016年2月に破産している。

2017年4月11日、金融庁から正式に課徴金支払い命令がでた。
株式会社ウェッジホールディングス株式に係る偽計に対する課徴金納付命令の決定について
これで、アジアパートナーシップファンドとそれを立ち上げた此下会長は終わりなのだろうか。
事業を成功させたとしても、その先に事業の失敗、犯罪、社会的信用の失墜、破産、といった結末が待ち受けていたら、
その人の成したこともすべて悪であったと受け取られてしまう。それはとても寂しいことでないかと思う。

為末大さんはアジアパートナーシップファンドの支援を受けて本書を書いている。
その内容はファンドを絶賛する内容だ。
でも、今はインベストメントハードラーという名前は捨てて、純粋にスポーツ振興に携わる仕事をしているみたいだ。

本の内容自体は、まっとうな投資の考え方が書いてあり、なおかつそれがスポーツと対比されていて面白い。
10年も前の本だけど今でも読める、なかなか無い本。

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