「うつ」がスーッと晴れる本 斎藤茂太

著者は斎藤茂太さん。
精神科医、随筆家。
2006年満90歳で心不全により亡くなられるまで生涯現役で多数の著書を残した。
今の時代、うつって言葉がすっかりメジャーになって、
うつ病の人が世の中にうじゃうじゃ出てきた。
きっと誰でも、うつ病になった人を一人や二人身近に知っているはず。
10~15人に一人は生涯にうつ病を経験すると言われている。
うつ病マップなんてのも作成されているらしい。
これは意外。うつ病人口比率、なんと日本が一番低かった。
うつ病が増えているんじゃなくて、
うつ病はもともと沢山あったんだけど、
認知が高くなって、自分がうつ病だと気づく人が増えただけといわれている。
英語ではうつ病のことをDepressionという。
中国語ではうつ病のことを忧郁(Yiyu)という。
かくゆう僕も、かつてうつ病だった。
自分がうつ病だということに気付かないで生活していた。
自分が弱いから、成長が足りないから辛いだけなのだと思っていた。
治った後、ある時うつ病という病気の存在を知って、あ、自分はうつ病だったんだと気づいた。
抜け出した今だからこそわかる。
あの頃はとてつもなく辛かった。
よく頑張ってごまかしごまかし切り抜けて生きてきたもんだと驚きすら覚える。
しかし、実際のところ「うつ病」とはどういう病気だったのか。
僕の場合、こんな感じだった。
ひたすら元気が出ない。
いつも何かどんよりとした覆いが被さっている感じ。
とても自意識過剰で、他人が自分のことをどう思っているか酷く気にし、ひたすら反省と後悔ばかりを繰り返す。
お酒を飲んでいる時だけはそれを忘れられる。
しかし、次の朝、その倍くらい話した内容、振る舞いを後悔する。
行動することがとても億劫。
人と出会うこと、話すこと、交流することが信じられないほど辛い。
人と話す時にものすごく緊張しているからまともにしゃべれない。
まともにしゃべれないから、しゃべることがすごく怖い。
できるなら誰とも関わらずに生きていきたい。
そうなってはならないと思っているのに、心がそう反応してしまう。
暗くて、引っ込み思案な自分をいつも悲しく思う。
頑張って鞭打って自分を成長させようともがくけど失敗してまた後悔。
何より、ひたすら眠い、眠い、眠い。
仕事も集中して取り組めない。
だけど、それがどういうものなのか、イマイチよくわからない。
うつ病になった人は、またうつ病になる可能性が高いとよく言われる。
それを恐れている。
だから、僕はこの本を手に取ったんだと思う。
これだけ、うつ病という言葉は流行っていても、みなそれが本当は何なのかよく知らない。
どうやって接していいかも知らない。
悪気はないんだろうけど、うつの人を追い詰めている人間を僕は何人も見てきた。
僕のうつを悪化させる一因となった人間のことを僕は今でも憎んでいる。
うつって何なのか。
これだけ蔓延している今、気持ちよく生きていくためには誰もが学ぶ必要があると思う。
モタさん(著者)はうつのことを、非常にわかりやすく、思いやり深く説明してくれた。
この本は非常にいい本だと思った。
うつ病はうつ気分を主な症状とする病気。
うつが最も多いのはサラリーマン、ついで主婦。学生、若い人は多くない。
うつは条件さえそろえば誰でもかかる病気。風邪と同じ。
いくつか関係する体内の物質も確認されている。
うつ状態にあるときは、脳内のセロトニンが減少することがわかっている。
セロトニンは、血液や胃腸管に多く含まれて、平滑筋という筋肉を収縮させる作用がある。
脳にも多く存在し、神経伝達やその調節にかかわっている。
睡眠と覚醒のサイクル、体温や血圧などの自立機能の調節にもかかわり、気分の変化にも関係がある。
うつ病に効くくすりの大部分は脳内セロトニンを増やすように働く薬。
ドーパミンが少なくなってもうつ病になりやすい。
ドーパミンは快感を生む物質。神経伝達と調節に関わっている。
うつ病の症状はさまざま、程度もさまざまだという。主な症状は以下。
①ゆううつ。ほとんど毎日、一日中絶望的な気分が続く。
②苛立ち。
③無関心。何をしても楽しくもうれしくもない。
④無気力。疲労感が強く、何をするのもおっくう。
⑤能力低下。思考力、集中力、理解力、記憶力、判断力、決断力、計算能力などが低下する。
⑥緩慢化。行動がのろまになる。
⑦気力の衰え。性欲が減退する。
⑧自責。劣等感、自己嫌悪、罪悪感をもつ。
⑨妄想。
⑩食欲異常。
⑪不眠。逆に眠り過ぎもある。
⑫自殺念慮。ときに実行する。
5つ以上当てはまれば、うつ病の可能性が高いらしい。
僕の場合は①、③、④、⑧、⑪が当てはまっていた。
抑うつは概して午前中に強く、午後はやや好転する傾向がある。これも納得。
怖いのは再発することが多いこと。
日本人の場合、躁うつ病を発症した人の90パーセント以上に認められた性格があるという。
その性格は「執着性格」というもの。
・一度起こった感情が長く持続する
・仕事熱心
・凝り性
・徹底的
・正直
・きちょうめん
・強い責任感と正義感
・ごまかしやずぼらができない
なんかまさに僕そのものな気がする。
ところで、現代では躁とうつが繰り返し交代で現れる躁うつ病はあまり増えず、うつ病だけが増えているらしい。
うつは他人にも影響を及ぼす。
世話をしているうちに、世話をするほうもうつになることがよくある。
うつが伝播して世の中うつばかりになったらそれこそ悲惨だ。
ストレスがうつ病の原因になる。
僕の場合も原因は大体わかっている。
自由に生きたいように生きてきた僕。
だけどある時突然、社会に溶け込もうして、本来とは違う自分に無理やりなろうとした。
今までの生活を強制的に変えて、違う人格すら作ろうとした。
嘘、偽りの自分、そして、それを嫌悪しつつも、強制する自分。
そうした誤った努力が、強烈なストレスを生み出して、僕はあっという間にうつ病になった。
あの時、もっと自分に正直になればよかったのだと思う。
著者のおすすめストレス貯めこまない法が本書では紹介されている。
それは方法は6つで、STRESSの一文字ずつを頭文字にしている。
S-スポーツ
T-トラベル
R-レクリエーション、休養、気晴らし、本業以外の趣味など。
E-イート、食べる
S-スリープ
S-スマイル
ストレスを感じたら、どれかを実践。
こうして適度なストレスを自分の中で維持、コントロールすることで、うつから遠ざかることができる。
うつは正直怖い。
それは、人から気力という気力を根こそぎ奪ってしまうから。
そして、うつは結構なりやすい。
特に体を酷使し、ストレスをため込んだらすぐになってしまう。
二度とうつ病にならないように、心の安静を意識的に保つ努力。
無理をしすぎていないか自分に問いかけてあげて、
たまには息抜きさせてあげること。
忘れないようにしよう。
真面目な僕は鬱になりやすい。

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